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 〜 さいきん読んだ本 〜

あまり本は読まないんだけど。
それに「読書感想文」ってのは幼少時のトラウマのひとつだし。

なので。
ちゃんとした批評とか感想ではなくて、ただの備忘録。


ららら科學の子

私的回顧と白昼夢で満たされた物語。設定は「30年間革命中国の辺境の農村に暮らして帰ってきた元全共闘活動家」の中年男性氏が主人公だけど、もしかしたらあの世代の一部の人たちは日本で就職して暮らしてきても現代の本能本位的生活を見るとき同じような逆浦島太郎的離人感にとらわれているのかもしれない。闘う相手の敵の存在でしか自分のアイデンティティを規定できなくて、足元が見えないまま徘徊(物理的にも精神的にも)している…みたいな。

っつーか。タイトルを見て空想科学小説かと思って借りたのに、ただの空想小説だった… ○××××

[2004/8/29〜31]


神道いろは 〜 神社とまつりの基礎知識 〜

神道・神社まわりのFAQ本。知らないことがたくさーん。それ以前に、読めない漢字がたくさーん。いかに自分に「日本人的教養」がないかを思い知らされる。まぁ神社本庁発行の布教用資料だから、そこここに「我々日本人の共通した考え方」とか「日本人の生活習慣における伝統や信仰に基づいたもの」みたいな教義がちりばめられているのは「なんだかなー」ではあるけど。

とはいえ、純粋に好奇心を満たしてくれた部分もあるので… ○○×××

[2004/8/26〜28]


銀河鉄道の夜

宮沢賢治の未発表作品集(「おきなぐさ」「めくらぶどうと虹」「双子の星」「貝の火」「よだかの星(ぶとしぎ)」「四又の百合」「雁の童子」「ひかりの素足」「虹の絵具皿(十力の金剛石)」「黄色のトマト」「銀河鉄道の夜」の12篇を収載)。「宮沢賢治の作品 = 童話」みたいな安易な気持ちで読みはじめたら、なんだか宗教(哲学?)色が強くて難解で読解力を試されているみたいだし、臨死体験やら予知夢やら現実逃避的白昼夢のオンパレードで気が遠くなりそう。

作者の(定評ある?)ユニークなオノマトペだけでなく、ありきたりでない語彙をちりばめながらも流れるような文体はステキだけど、物語の設定とかに「異国かぶれ」的な部分があるのには違和感が。たとえば「銀河鉄道の夜」の登場人物の名前が「カムパネルラ」や「ジョバンニ」ではなく「鐘太」とか「譲二」だったら、いまみたいに人気の作品になっていただろうか…なんてアホなことを考えながら読んでしまった。

それにしても。最終稿でない未完成作品の「よだかの星」や「銀河鉄道の夜」が教科書に載っちゃったり有名になっちゃったりしているのを、草葉の蔭の作者はどう思っているのだろうか…。

ぽんぽこの理解力の限界を超えちまっているので評価不能。 ○

[2004/8/18〜25]


ニューギニアの贈りもの 〜 パプアニューギニアからイリアンジャヤへ 〜

最初の1章は未知の世界に触れた驚きや喜びが率直に書かれているのに、途中から「文化人類学者」みたいな視点の記述が多くなる。「好きだから旅している」という動機はともかく、旅もポーターやガイドを雇う本格的な冒険行になり、最後には「セスナの定期便が欠航になったから」とヘリをチャーターして帰国の途に。なんだかなー。と思ったら、この人、いまは写真家なんだそーだ。よーするに大半は「取材旅行」だったのねん。

それにしても。インドネシアに併合されたあとの旧西イリアンでの政府&移住民の先住民に対する政策や力関係が、100年ほど前の北海道でのそれとそっくりなのにタメイキが出る。

とりあえず現地の人たちに罪はないので… ○○×××

[2004/8/17〜18]


一周おくれのトップランナー 〜 名古屋市民のごみ革命 〜

現役名古屋市長のゴミ行政奮戦記…を装った「ボクは四面楚歌の中でよくがんばったんだよー」的自画自賛型回顧録。循環型社会からゼロエミッションへ、なんて掲げている理念はご立派だけど、それに相反して包装容器以外の紙・プラスチックのリサイクルを拒否しているのは「法制度が悪いから」と逃げているだけ。がんばったのは理不尽な分別回収に協力している市民のほう。トップランナーを自負するなら、土建工事に垂れ流している税金の一部をまわしてでも必要な費用を捻出して、リサイクル可能なものはすべて資源として回収してほしいもんだ。

まぁ、副題は正しく「名古屋市民」になっているし、今後の展開に少しは期待して… ○○×××

[2004/8/14〜16]


ニワトリを殺すな - Don't Kill a Cock

設定が欧米っぽい(主人公の成功した実業家もインタビューするテレビキャスターも横文字名前)ので翻訳モノかと思ったんだけど。途中で「その出現が新しい市場や業態を作った、あるいは業界を活性化させたと言えるような画期的なヒット商品」の例で「ウォークマン、ファミコン、ドライビール、iモード……」が挙げられているので日本的発想だと気づく。「訳者」の記載もないし。最後まで読んでみると、どーやら本田宗一郎哲学の布教本だったらしい。なんだかなー。なんで正直に舞台を日本にしないんだ?「傷ついたニワトリを殺すな(正しく試行し失敗し反省している『傷ついたニワトリ』を寄ってたかって責め殺すのではなく、その失敗を元にして本来の目的を果たすためには何が必要なのかを議論せよ)」という思想は立派なのに、アホらしくて「読むんじゃなかった」と思っちまった。

理解不能な欧米崇拝的設定はともかくとして、本田氏の哲学に敬意を表して… ○××××

[2004/8/12〜13]


シルミド 〜 裏切りの実尾島 〜

「国家は個人に忠誠を求めるが、個人が国家に忠誠を求めてもムダである」のは、どこの国でも同じらしい。ドキュメンタリーと呼ぶには感情移入が強すぎる気はするけど、国家機密の壁に阻まれながらよくぞここまで取材したもんだ。

ということで… ○○○○×

[2004/8/9〜10]


まほろばの国で

「人の縁」っつーけど、出てくるのは芸能人とか社長とか店のチーフとか「成功者リング」の人ばかり。以前の本では、旅先の宿の盲目のマッサージ師とか「本日定年」の旧国鉄の車掌さんとか市井の人がたくさん登場していたのに。彼が毎年8月6日に長崎で開いている野外イベントについて「メッセージを送るのではなく『考える場』を提供している」というスタンスは立派だと思った。

過去の本と目線の高さがずいぶん変わっちゃってるので… ×××××

[2004/8/8]


おんなたちの町工場

家事育児をこなしながら不況にあえぐ町工場を支える女性たち。「人間、誰でも歩いてきた道を振り返れば一本道に見える」んだけど、無数の分岐点でその道を「選んで」きているのは当のご本人。はてしない苦労話に感動するかゲップが出るかは読み手次第…で、オイラはゲップが出ちゃいました。

そんな人生を「選んで」生きてきた方々に敬意を表して… ○○○××

[2004/5頃]


春は鉄までが匂った

長期休暇もなく安月給で人生の大半を仕事に捧げる雇われ職人たちの物語。クリエーターとしての華のある職人ではなくて町工場という企業に技術を売っている従業員(や大企業の下請けの零細工場のオーナー)だから、相応の対価を求めず(与えられず)「不況」を理由に簡単に切り捨てられる彼らの生き方は感動的ではあるけど哀れだ。きちんとしたプロ意識を持って仕事をしながらも自分や家族の時間を大切にしている人はいくらでもいるんだし。

職人的仕事の描写には興味はあったので… ○○×××

[2004/5頃]



評点タヌキその他の画像は Takashi Beck さんの Yoi Yoi 動物園 からお借りしました。